「L.A. ジョーンズ」
テーマ無く、上手い具合に90分間飽きさせない。その点ではうまい。プロの仕事。
ある意味見事な映画。
テーマは何もない。ただ単に、ハリウッドの高級娼婦が理由は分からないが近いうちにすごく金が要り、そのためにたくさん稼がなくちゃということで、次から次に客を取っていく。
ただ、高級娼婦なので、客は金持ちばかり。そして、主人公は客のファンタジーを満足させるようにいろいろなキャラクターを演じ分ける。中には、本気でウブな子だと思い惚れる客もいる。こんな仕事をしていてはいけない、いくら金がかかっても自分が助け出してあげるという客もいる。でも、断る。縛られるのは嫌なのだという。そして、どうやら本気でこの仕事に罪悪感を感じていない。
そして、本気で惚れていた客は探偵にシッボをつかまれ妻から離婚裁判を起こされることになる。
ただ、不思議なことに、非常に強引な男子学生のアタックに応えて、自宅の電話番号を教えてデートした挙句一夜を共にする。どうも本人も惚れてしまったらしい。非現実的な展開だがそういうことにしている。
まあ、こんな話が90分続いて飽きさせない。よく出来た娯楽小説の類ですね。本気で、何を表現しているのかなんて考えたら馬鹿にされる。こういうのも良いでしょう。
でも本当は、もっと深いものがあったら良かったな。どうせ、同じ時間を使うならね。
なお、原題は「L.A. JOHNS」。「JOHNS」というのはローマ教皇ヨハネスのことを言うが、「JOHN」の複数だと一応考えるべきだろう。それが「男」を意味するということは、ある程度英語を勉強した人なら誰でも知っている。でも、同時に、この言葉は、「(売春婦の)客」という意味も持っている。だから、題名だけで、どういう話なのか、分かる人には分かるわけである。ただ、にもかかわらず、この映画にはエロチックなシーンはほとんど無い。それでいて90分もたせているのだから、やはり、これはプロの仕事ですね。傑作かな?