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東洋経済ONLINEの「田舎」叩きがひどい

文章だけです。

東洋経済ONLINEの次の記事には呆れます。極端すぎます。






この二つの記事は、田舎を怪奇な世界として描こうとしています。もちろん、著者の「清泉 亮 : 移住アドバイザー」という方が嘘を書いているというつもりはありません。でも、これを読んだ読者が、ここに書いてあるような世界を「田舎」一般のあり方だと誤解させるようにミスリードしているか、してもかまわないという前提で書いているのは確かなことのように思えます(引き続きネットに記事を載せる仕事を得るためにはセンセーショナルな記事にしたほうが良いという思惑が働いたのでなければよいのですが)。

そして、上記のような扇情的な表題の後に小さい字でそれぞれ以下のような題もつけています。

場所によってはこんなにヤバい「お金の話」
場所によってはこんなにヤバい「人間関係」

言い訳づくりですね。小さい字で「場所によっては」と書くくらいなら、初めから表題にそのように表すべきです。著者のミスリードしようという意思は、小見出しにも表れています。

小見出し「有料のゴミ袋を購入したのに…」
小見出し「質問しただけでブラックリスト入り!」
小見出し「洗濯物の内容まで、生活のすべてを見られている」
小見出し「集落移住にはもう懲り懲り」

小見出し「田舎の返礼は「倍返し」が基本」
小見出し「隣人監視の目は、購入先すべてに及ぶ」
小見出し「聞いてしまった、地方移住歓迎の本音」


何のことを私が問題としているか、分かりにくいと思いますので、少し内容を紹介します。


まず「夢の田舎暮らし」の方です。

これは、東京生まれ東京育ちの友美さんという方が、夫婦・子供連れで山梨県のある集落に移住したことから始まります。その場所は
「背には標高2900メートルの赤岳を擁する八ヶ岳連峰が一望でき、右手に南アルプスの山並み、左手には富士山が見える場所だ。」
と書かれているので、山村なのかもしれません。

1、
この方が初めに面食らったのが、ゴミを出すことを断られたということでした。地元集落の役員に
「あれ(ゴミ集積所)は組(集落)のもんだから、組に入っておらんもんはあそこには出せん」
と言われてしまったというのです。じゃあ、組に入れてくださいと頼むと、
翌日
「悪いけんど、組長がうちの組にはよそから来たもんは入れんっちゅうとるから」
と断られる。
これでは困ると、役所に相談しに行くと、
「ああ、あそこの組長さんはもう……何を言ってもダメですから……」
そして
「集落のゴミ集積所は集落の私有地にある私有財産で、公共財ではないのでどうしようもできません。もし、移住の方が何世帯か集まって新たにゴミ集積所を作ってもらえれば、そこに回収には行きます。新たにゴミ集積所を作るに当たっては補助金も出しています」
これでおしまい。

2、
次に、ビックリしたのが、子どもが入った保育園のバス遠足でのこと。なぜか1号車に乗るべき親御さんが4号車に集められ、1号車には保護者会の執行役員がごそっと乗っていた。アレッと思って、友美さんは、その晩、保護者会長に電話して自分の思いを伝えます。すると、しばらくして数人の役員から呼び出しを受けます。そして伝えられた内容に驚きます。
保護者会なんかで、手をあげて質問したり発言したりすると、一律『厄介者』と認定していくんです。田舎の集落は極めて狭いですから、保育園の面々がそのまま、小学校、中学校、場合によっては高校までそのまんま行きます。ブラックリストだ、厄介者だなんていわれた家庭は、ずっとそうして敬して遠ざけられるんです。実態は村八分です」
4号車には「厄介者」が集められていたというのです。そして、お前もその「厄介者」だと。

3、
そして
「集落は夏祭りの準備に消防団の集まりと、夏場にかけて参加強制の作業が目白押しだ。仮に組や区などの町内会に入れたとて、仕事を理由に毎月の定例会などに参加できないと、1回の欠席当たり数千円の「罰金」を払わされる。」

4、
もう、うんざりした友野さんは、近くにあった別荘地域に転住する。そして、笑顔が戻る。
そして言う。
「古民家にいるときは、今日は洗濯物が干してあったな、今日は少なかったなとか、縁側に干してある洗濯物の内容から量まで、集落の皆が皆、そんなのを全部見てて、見てても黙ってればいいのに、それをまた全部、会うたびに言葉に出すんですよ。車があれば、なんで晴れてるのに家にいる、車がなければ、どこに行ってたって。誰かの親が遊びにくれば、菓子折を持って行くふりして、どんな親か様子を見てこい、ですからね。都会暮らしを経験した人が、そんな習慣のなかで生きるのは大変なストレスだと思いますよ」
「よかったですよ、集落を出て。だって子どもが大きくなると、組に入ってない家の子どもはお祭りにも参加できないんですから。お祭りは組のものだから。ゴミと一緒ですよ」

ここで著者がまとめる。
「そんな実態を、役所の移住担当者はおろか、田舎暮らしの本や、テレビの移住番組なんかでは教えてくれない。」
「不都合な真実は決して教えない、移住礼賛、田舎暮らし礼賛とは、いかに罪深いものだろうか。」
「友美さんは、今はただ、田舎暮らしを考えたかつての瞬間に、もっと早く「不都合な真実」を教えてもらえていれば、と思うだけだ。田舎暮らしが一大ビジネスになってしまっている今、それは誰も教えてくれない。自分自身でもがいた末に理想の田舎暮らしを得た友美さんは今、こう考えている。
「もう少ししたら、近くにもう一軒買って、都会の両親を呼び寄せてもいいかな」
もちろん、集落移住にはもう懲り懲りだ。」


このまとめ方、田舎を一般化していないでしょうか。「友美さんが体験した田舎は、たまたまこんなものでした。こういう田舎もあることに気を付けた方が良いですね」というまとめ方にはなっていないと思います。どうしても、そんな風には読めません。そして、読者の感想が沢山寄せられていますが、そのほとんどは
『田舎なんて、みんなそんなもの』
『田舎なんてほろんだ方が良い』
『田舎に住もうなんて間違い』
という類のもの。
見事にミスリードされているように思えます。


なぜ、これをミスリードだと言うのかと言えば、私の住んでいる場所には、ここに挙げられているようなことは一切無いからです。
私の住んでいる場所は間違いなく田舎です。最寄り駅は東武東上線で池袋から1時半半ほど。途中、二度乗り換えなくてはならないことが多いです。そして、その駅から自宅までは5㎞あります。妻の口からも時々『こんな田舎』という言葉が出ます。

しかし、私の住むところは、外部の方を拒絶するような雰囲気はありません。 実際のところ、脱サラをして就農している方が結構います。そういう方は、地元の農家から農地を借りて耕作をしています。我が家の田んぼもそういう方の一人に貸しています。借りてくれる人がいるのはあり難いことだと思っています。農村地帯ではありますが、地元生まれの者で農業に従事している人は非常に少ないからです。また、小さいながらも新興住宅地もあります。いろいろなところからやってきた方がそういうところに住んでいます。また、地元の家も、家庭ごとに生活の基盤が異なっているので、排他性を生むほどの強固なまとまりは生まれようもないとも思います。

ですから、ゴミを出せないなどということはあり得ません。むしろ、引っ越してきた瞬間から、1年に1回か2回ですが、ゴミ(不燃物)管理の当番が回ってきます。また、地元の長男・跡継ぎの集まるサークルがあります。これは、地元の人でも入っいない者も結構いる有志団体ですが、よそから転入してきて就農したり会社勤めをしている人にも勧誘の声をかけ、入って貰っています。バーベキューや宴会の時一番大きな声を出して騒いでいるのは、そういう人だったりします。だから、何か物言いをすると「厄介者」になるなどということは、あるはずもありません。そんな力がある者も、そんな不遜なことを考える者も地元の人間の中にはいません。ブラックリストなんて聞いたこともありません。

参加が義務付けられている行事は、年に二回だけ。「道普請」という行事。春と秋に一回ずつあります。かつて道路が舗装されていないときには大きな意味を持っていたのでしょうが、現在では、名前通り道路を作ったり修繕をおこなったりすることはありません。実際のところは、地域の美化活動と草刈りです。作業時間は2時間ほど。これに出られないときには2千円払わなくてはなりません。ほとんどの方が出ているので、そのことに不平があるということは聞いたことがありません。

また、どこかの家の洗濯物を詮索して噂出来るほど、家が凝縮して建っているわけではないし、狭くもありません。私が道路沿いの畑でトラクターに乗って草退治をしていると、あとで「やってたねー」と言われることはありますが、わざわざ人の家をのぞき込むような人はいません。それ、完全に変質者でしょう。

思うに、そういうことが出来るのは山際の漁村か山村だけではないでしょうか。
平地の田舎は、畑や田んぼが家と家の間にあります。何軒か固まっている部分もありますが、他の固まりとは距離があります。噂話をするために、同地区の者が何人も日常的に集まるような機会はありません。たいていの人が会社勤めをしていますので、そんな時間もないですよ

また、平地の田舎の家は、一般的に、都会の家よりも大きいです。前庭や中庭がある敷地の中に、都会だったら豪邸と言われる程度の大きさの家が建っているのが普通です。畑の中にあるそんな家でどんな洗濯物が出されているのかをのぞき込みに行くなんて、常軌を逸した好奇心のある人でなければできないことでしょう
むしろ、洗濯物云々とか来客を調べに行くとか、都会の下町辺りの方がありそうなことではありませんか。庭の無い小さな家が沢山密集していますから、客観的条件はそろっています。『田舎はみんなそんなもの』と納得している方は、現在自分の住んでいる住宅環境を前提にこの記事を読んでイメージを作っているのではないでしょうか。でも、平地の田舎と都会では住宅のあり方は全く違うのです。

著者は、友美さんの「集落移住にはもう懲り懲りだ」という言葉で、この記事を締めくくっていますが、ここに描かれているような「集落」はどこにでもあるわけではありません。都市化の波は、農村にも当然及んでいるわけで、農村で生まれ育った者の生活のあり方、仕事の仕方は、基本的に都市生活者とそうそう変わるものではありません。ほとんどの者がサラリーマンで、職場を中心とした生活をしています。地域ではないのです。私は、農村のほとんどの者が農業にいそしんでいた時代を知らないせいか、部外者が拒絶感を感じるほどの集落のまとまりというものは想像もつきません。山梨県のどこかには著者が描いたような集落があるのかもしれません。でも、それは私には一つの特殊な集落であるとしか思えません。おそらく他にも似たような体質を持つ集落が残存しているのかもしれませんが、それを田舎一般のイメージにしないでほしい。ステレオタイプを作って、田舎叩きという不思議な風潮を作らないでほしいと思います。

それにしても、不思議なのは、この著者、「移住アドバイザー」を名乗っていますが、これで移住したいという客を確保できるのでしょうか。こんな文章書いていたら、田舎なんか行かない方が良いんだねって、みんな思っちゃいますよ。

長くなったので、「地獄の沙汰もカネ次第」については、次回に回します。でも、そちらのほうがさらに強烈かもしれません。


Commented by henronin at 2018-08-18 09:23
おはようございます。
haruさんの住まわれてる所は理解があるんでしょうね
我が家は最近周りにぎっしり住宅が出来 我が家の庭にクーラーの
室外機が7台至近距離 30センチ で吹き込まれてます こうした現状や挨拶もない人々が共同体の残る場所に住むのは所詮無理でしょう 
そうしたことに煩わしいとか怖気ずく人は来てもらわない方が良いのでは 地域の人口が増えるのが総てベターだとは思いません
今は無いとは思いますが東京空襲の頃父の生家のある東京の田舎  多摩地域 に引っ越した時 共同体から 来たり者 よそ者 と言われて悲しかったです
だから我が家の近所では脱人付き合いになってるのかも 都会はそれでも生きていけるからかも
ごみ集積所に分別不良の物が出ても黙々と他家のゴミも処理してます それも来年からそうした苦情の回避の為 集積所各家庭の入口になります。
人が生きてゆく為のかかわりは難しいです 隣組会も住人の半数以下になりました年寄りのボスに何かがあれが崩壊でしょう 昔懐かしい回覧板も昨年から来てません 会費は集めに来ますが....?
Commented by haru_ogawa2 at 2018-08-18 18:34
遍路人さん、こんにちは。

私の住んでいる地区では、外部からやってきた方の住む新興住宅地は一か所に固まっています。地元の住居とは接していません。それが無用な摩擦を生まない要因になっているかもしれないですね。ただ、新興住宅地の方とも、道普請や宴会で話をすることはあります。新興住宅地の方は私の地域の1/3~1/4くらいの人数だと思います。

ただ、隣接する地区の中には新住民が2/3~3/4くらいになっているところもあるようです。そういう地区でも公民館役員とか地区の三役は必ず出てきます。20代・30代の新住民の方が区長(地区の責任者)に就任することもあるようです。

他に、地元の家族の関係者が畑を分けてもらって家を建てるというケースは何件かあります。我が家に隣接する家は元々は無かったのですが、最近そういう家が2軒建ちました。

転入してきた方たちとは、道で会えば挨拶はしますね。全く知らない顔の人があまりいないということが関係しているとは思います。

ゴミの管理は大変ですね。特に不燃物の出し方に大きな問題があります。分別をしないで出してしまうゴミ袋が必ずありますね。ただ、それがすべて新住民の行いとは思えません。むしろ、地元の老人の方がその辺、頭が緩くなっている可能性があるなと思っています。

隣組は全戸加入しています。入らないと言い出した人はまだいないですね。回覧板も回っていますよ。会費は1年に2000円集めたり集めなかったりですが、集めるとなると出してくれない家は無いようです。

やはり、田舎のあり方は千差万別ですね。東京の下町でもそれは同様なのではないでしょうか。
Commented by UUU at 2019-09-10 08:55 x
基本的に~がいってた~レベルの妄言で、なぜか東洋経済ってマウントとってますね。
さらに、雑なミスリードや自分たちのそのフェイクレベル記事を誤魔化すために、フェイク叩き記事とかで自分たちが糾弾してる側のように、検索結果がでてくるのは、どこまで狙ってるんでしょうね。

「東洋経済 ひどい」あたりだと、東洋経済のやっちゃってる記事への批判が大量にでてきますが
Commented by haru_ogawa2 at 2019-09-10 19:05
uuuさん、こんばんは。
仰る通りですね。不確かな一人の発言で記事を作っちゃってますね。一つの特殊な例を一般化するということをやっています。
良い記事もあるとは思うのですが、アクセス数稼ぎを狙って馬鹿な記事を載せるのはやめてほしいですね。
Commented by ななし at 2020-12-17 15:13 x
人口は都会の方が圧倒的に多いので、
他の地域を叩くのは都会の方が多いんですけどね。
まあ田舎でも都会でも、悪口を言う人は無視するのが一番ですよ。
きっと幸せじゃないのでしょう。

悪口を言う人が悪口を言っている間に、無視して自分のたのしい時間を過ごしましょう。
Commented by haru_ogawa2 at 2020-12-17 23:10
ななしさん、コメント頂きありがとうございます。

私は田舎育ちですが、特に田舎が好きだというわけではありません。ちょっと前までは都会の駅前のマンションに住むのが一番楽で良いかななんて思っていました。今でも、突然10億円位手に入ったら、思い切って引っ越しちゃおうかななんて夢想することがあります。そんな可能性はゼロなんですけどね。

この記事を書いたのは、東洋経済ONLINEの記事が余りにも不当だと思ったからです。特定の田舎を根拠をあげて叩くことは全然かまいません。でも、この記事のように、ごく一部の地域にあった事例を根拠なく日本全国の田舎に敷衍するようなやり方は、あまりにも無茶苦茶です。ハッキリ言って、この人理性あるのかな?と疑うくらい。このやり方は、ほとんどヘイトと同じです。こういう調子で、田舎一般を忌まわしい対象として描くことは呆れるしかありません。それは、田舎に住んでいる人を不当に馬鹿にしていることでもあります。そんな馬鹿、そうそういるわけないだろう、と言いたいです。自分の顔を鏡で見てみろよと返したいですね。

そんなわけで、私はこの東洋経済ONLINE之記事は、単に都会の人が田舎の人の悪口を言ったという類の話ではないと思っています。不当に田舎を叩くことをビジネスにする汚い商売だと思います。それで、黙っていられないなと思った次第です。

それから、文章を書くことはボケ防止の効果もあるなということも頭にチラッとあります。それに、元々文章を書くことは嫌いではないんです。
Commented by ななし at 2021-01-19 13:38 x
なるほど。
たしかに、日本国民の連帯を保つ上で悪影響な記事かもしれませんね。都会も田舎も協力して働いている人も多いですし。
東洋経済に連絡してみるのもよいかもしれません。

私も田舎生まれなので、個人的には兵庫周辺の高級住宅街に住んでみたいですね。首都圏は多すぎなので流石に遠慮しますが。バランスが大事ですね。
Commented by haru_ogawa2 at 2021-01-23 21:38
ななしさん、こんばんは。

東洋経済オンラインに対しては、該当する記事のコメント欄に意見を書き込みましたが、削除されました。都合の悪いコメントは、基本的に削除の対象になるようです。

先日高速道路に乗り、東京との境にある病院に行ってきました。実家に帰ってきて見ると、やはり、住むならこっち(田舎)の方が良いなと思いました。若い時は、東京に住んでいたこともありますが、必要性が無いのなら田舎の方がゆったりしていて良いなと思います。歳のせいかもしれませんね。
Commented by ななし at 2021-03-07 14:50 x
コメントあらまぁ…それは残念。
首都圏を基軸とするメディアは田舎蔑視が多いのかもしれません。
気を落とさないでください。
田舎がどうであれ、人間はよくしていくものですから。
Commented by haru_ogawa2 at 2021-03-21 23:39
ななしさん、コメント頂きありがとうございます。
まあ、田舎に馴染めない気持ちは分かるのですが、ごく一部にみられる異常例を全国どこでも同じだと思わせ、見当違いの誤解を広めるのはやめて欲しいなぁと思いますね。
by haru_ogawa2 | 2018-08-18 00:27 | その他 | Comments(10)

元々は自宅の回りの植物(枯れ草・枯れ葉・花・紅葉等)を撮っていましたが、今はよさこいのイベントを撮ることが多くなりました。GANREFにも投稿しています(https://ganref.jp/m/haru_ogawa/portfolios/photo_list/page:1/sort:ganref_point/direction:desc)。


by haru_ogawa2
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