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「かもめ食堂」

「かもめ食堂」
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菩薩のごとき女性店主と、癒しを求めて日本から脱出してきた女性二人。小さな成功と安らかな生活。

背景の分からない日本女性が3人、フィンランドのヘルシンキに集まる。そのうちの一人が始めた「かもめ食堂」に他の二人の女性が順次、客としてやってきて居付く。開業した女性は、客が全く入らず一ヶ月を経過しても全く焦らない。いずれ来るようになると達観している。宣伝もしない。

やがて、本当に客が入るようになるが、店主の女性は、急に忙しくなって疲れたり苛立ったりしない。ずーッと平静なのだ。まったく客が来ない時も、店が満杯になったときも、よくブールに行ってゆったりと泳いでいる。

「嫌なことはしたくないの」というのが、店主の信条だ。フィンランド語がペラペラの店主は、その信条に従って、日本を抜け出して来たのかもしれない。何の必然性もなくフィンランドにやって来て時間を過ごしている他の女性二人を自然に受け入れる態度からして、同種のタイプかと思わせる。

生活に対しあまり熱意は無くシャカリキにはならないが、人生に絶望しているわけでもない。ゆったりと静かに生き、あるがままを受け入れて行く。何も拒まず、追いもしない。まるで菩薩のように。

こんな生活は一つの理想ではあろう。ただ、誰にでもできるわけではない。店主のこの様な生活に対する向かい方は、自らを修羅とする葛藤の末にたどり着いたものかもしれない。また、異郷にあって客が全く入らず一ヶ月が経ちながら平然としているという態度は、よほど透徹した見通しか金銭に対する無関心がなければ、取れるものではないだろう。通常の人間の域を超えている。やはり、菩薩か。だとすると、他の二人は店主に寄り添い救われる衆生ということになる。

観ていて気持ちが安らぐ映画であることは確か。主演の小林聡美の微妙な表情の変化に魅せられ、片桐はいり・もたいまさこのユニークな味わいも印象深かった。10年ぶりに観たが、やはりそれだけの価値はあった。

by haru_ogawa2 | 2019-08-27 12:45 | その他 | Comments(0)

元々は自宅の回りの植物(枯れ草・枯れ葉・花・紅葉等)を撮っていましたが、今はよさこいのイベントを撮ることが多くなりました。GANREFにも投稿しています(https://ganref.jp/m/haru_ogawa/portfolios/photo_list/page:1/sort:ganref_point/direction:desc)。


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