「明日の記憶」 |

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2018年 05月 27日
「明日の記憶」
記憶が無くなっていくことへの恐怖。優しく支える妻。樋口可南子の演技が見事。 ![]() 私の父は認知症にかかっています。通院するようになって数年。随分進行しています。自分が住んでいるのは自宅ではないと思っていて明日家に帰ると毎日言っています。母のことも分からなくなっています。自分のしてきた仕事についても思い違いをしています。徘徊して警察に保護されたこともあります。でも、自分の病気で辛そうな態度を示したことはありません。別に頑張っているわけではなく、自分の異常に気が付いたことがないのです。 この映画の主人公は、まだ若くして発症し、しかも自分の異常さに気が付き、能力を失っていく自分のあり方に苦しんでいます。辛いですね。でも、こんな優しい奥さんがいるとあり難いですね。もともと愛し合った二人であった故のことでしょう。 最後のシーンで、主人公が奥さんのことを分からなくなって、道に迷っている女性だと思いこみ親切心を見せますね。この時の樋口可南子の演技が見事ですね。無言のうちに意識の変化を非常に明瞭に表していますね。安心・歓喜・戸惑い・絶望・抱擁・寄り添い。 幸せな人生の最後を迎えたいものです。 ▲
by haru_ogawa2
| 2018-05-27 21:04
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2018年 05月 27日
「今度は愛妻家」
はははは。楽しい。そして、切ない。一番大切なものは、失ってみて分かる、のかな。 ![]() 初めは嫌な男だなぁと思わせてくれる。有名なタレント写真家。こんなに奥さんが機嫌を取ってくれるのに、なんでこいつはこんなに尊大なのか、不誠実なのかと思ってしまう。 ところが、ところが・・・・・。後でわかることだけど、奥さんはゴーストだった。ゴースト相手にシッチャカメッチャカをやらかしてくれる。ある日、奥さんが「もう離婚する」と言う。「離婚記念に写真を撮ってよ」と言う。撮った後、男は「男が出来たせいか」と聞くが、奥さんが言う。「そうじゃないわよ。私たち1年以上前に沖縄で終わっているのよ」。実は、その1年以上前の沖縄旅行で、どうしてもうまく行かない夫婦関係に絶望して、奥さんが離婚を宣言した。そして、「離婚記念に写真を撮ってよ」とねだった。写真家は気を入れず適当に何枚か撮ったが、奥さんの指にエンゲージリングがないことに気が付く。そこで奥さんはホテルの部屋にとりに戻る。その途中、車ではねられて死んだ。 それ以来、写真家は奥さんのゴーストと付き合っている。生前は邪険に扱っていたのに、死んでから自分がどれほど奥さんを必要としていたか、愛していたかを知る。生身の奥さんがすでにいなくなってしまったことで、何度も涙を流す。仕事もできない、作品も作れない。どうしても、奥さんの死を乗り超えられないのだ。 周囲からは、いい加減にしろと言われるが、どうしようもない。だって、ゴーストとなった奥さんと会話をし、抱きあうこともできるのだから。ところが、そのゴーストがまた離婚を言い出したのだ。自分がいなくても、もう大丈夫よね、と。 いやぁ、良いですねー。薬師丸ひろ子のかわいい奥さんぶり、たまらなくキュート。豊川悦司のゴーマンぶりと涙ぼろぼろの落差の大きさ。笑えて、ジンワリできる映画。良いです。 ▲
by haru_ogawa2
| 2018-05-27 00:09
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2018年 05月 25日
「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」
ワクワクもしないし、胸をわしづかみにもされない。感動的でもない。でも、ジンワリとした良い映画です。子供が出来ないままラブラブで暮らしてきた夫婦。40年経っても幸せ。良かったね~~~。 ![]() 本日(2018.5.25)のニュースで複数の女性からセクハラで告発されたことが分かったモーガン・フリーマンとダイアン・キートンが主演をしている。 前回に続いて、老人夫婦の話で我ながらビックリ。でも、その様相は全く別。 黒人の画家と白人の奥さん。結婚して40年経った。足腰が少し弱くなってきたところで、今住んでいるところに不安を持った。この部屋は5階にあるけどエレベーターが付いていない。エレベーター付きのところに転居した方がいいのではないか? 姪が不動産屋をやっているので、彼女に頼み、売りに出すことにした。たぶん100万ドル前後は行くはずだ。評判は上場。次々に入札が殺到する。さて、我々はどこに移る? いくらで誰に売るかも決まらないうちに、今度は自分たちの転居先を探すことになる。ほぼ、自分たちの部屋(日本なら間違いなく億ションと呼ばれる)とトントンか少し下で買えそう。保証金を払いに行く。 契約書を交わす時。たまたま点いていたテレビに、テロリストかと疑われた有色人種移民が逮捕されるシーンが映る。ただ事故現場から逃げただけで重罪犯だと誤解されていたのだ。売り主の白人は、こんなやつやっちまえ、撃ってしまえ、こいつのおかげで自分の部屋の売値が5万ドルは下がったんだ!!と言う。その時、サインしようとしていた黒人画家の気持ちが変わる。契約なんかするものか!!と叫んで部屋を出る。妻は、慌てて追いかけ、勝手になんてことを言うのよ?!と詰め寄る。夫か語る。何と馬鹿なことを自分たちはやっていたんだ。ただの空回りだ。あと何年かしたら、売らざるを得なくなるかもしれない。でも、今はその時ではない。それでいいじゃないか・・・。は、はい・・・・・それで良いんですが・・・、どうなるんだろうと見ていた観客も骨折り損のくたびれ儲けでしたね。ま、ともかく、二人の40年の思い出がしみ込んでいるあの部屋を、今売る必要はない、ということなんですね。 二人は、黒人と白人の結婚が30以上の州で非合法とされていた時代に結婚した。妻の両親も祝福したわけではなかった。生まれてくる子供がかわいそうだと母は言ったが、結局、妻の身体的問題で子供はできなかった。10年前に手に入れた犬を溺愛しているが、二人はずっと互いを慈しみ尊重しながら暮らしてきた。というより、まさにラブラブの状態が今でも続いているかのよう。妻は夫に呼びかけるとき、いつも”ハニー”と呼んでいる。 子は鎹と言い、子供がいるがゆえに夫婦関係が継続できるともいわれが、この二人のように子供がいないがゆえにずっと恋人であるかのように暮らしていけるとしたら、それも悪くない。羨ましいと思う。 ワクワクもしないし、胸をわしづかみにもされない。感動的でもない。でも、ジンワリとした良い映画です。 ▲
by haru_ogawa2
| 2018-05-25 21:36
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2018年 05月 24日
「31年目の夫婦げんか」
寂しさをかみしめている初老の奥さん、実は、あなたは世界一の幸せ者なのです。 ![]() 羨ましい結末。 結婚31年目にして、妻が結婚に対して悩む。子供が独立し二人だけになった家庭で、かつてのように精神的にも肉体的にも夫とラブラブの関係に戻りたいと望むのだが、夫にその気配はない。真剣に悩んだ妻は、高額なカップル・セラピーを独断で申し込む。初めは問題にしていなかった夫も、妻に引きずられ、空路2500㎞も離れた地に赴き一緒にセラピーを受ける。 妻が求めているのは、直接的にはセックス。それも、単に肉欲によるものではなく、自分を欲しい・愛しているという気持ちが形になったセックス。でも、もう5年ほどご無沙汰している。自宅で夫を誘っても断られるばかりだった。 セラピーでは、結婚生活を立て直すには、やはりセックスがカギだと言うが、そこに至るまでの道筋として、初めて会った時の気持ちや、プロポーズに至る経過、二人の行った最高のセックスを思い出させ言葉にさせる。初めは強く拒否していた夫も最後は高級なレストランを予約し、豪華なスイートを予約する。そして、まるで新婚時代のような一夜を過ごそうと画策したが、失敗する。 失望のうちに帰宅し、妻は家を出る決意をするが、その晩、別室に寝ている夫が妻のベッドを訪れる。そして、成功。二人は子供と孫たちを呼んで、リゾート地で結婚32年目の儀式を行う。そして、今後互いを愛し尊重しながら人生を送ることを、熱いキスとともに誓う。 ハー・・・・・・。結婚32年も経ち、妻が結婚に対して未だにロマンスやファンタジーを求めるということが信じられない。もし、妻がそんな状態にあるとしたら、夫としては、これほど幸せなことはないだろう。実を言えば、我が家の様子はそれとはまるで正反対。私などは、邪魔者みたいなものだ。だから、この映画の夫に対しては羨望しかわかない。 日本とアメリカの違いなのか、それとも私の個人的な生育の問題に過ぎないのか分からないが、女性、それも中高年の女性がそれほどまでにロマンチックな気持ちを持っているということは、私にとっては現実的ではない。残念ながら、そんなロマンチックな方は、一人も知らない。 この女性は、自分に対して関心を見せてくれない夫と暮らすことに激しい寂しさを感じているが、私にとってはそんなことは当たり前のことだ。子供の時から、ある種満たされない気持ちを持ちながらも、それに耐え、その気持ちを意識下に押し隠して暮らすのが当然だと思ってきた。だから、老境に至った今、配偶者からほとんど関心を寄せられないことにも、感受性をそばだてないようにして暮らしている。寂しいと思った時期もあったかもしれないが、そうするしか生活の方法はなかった。それは特殊なことではなく、そんな暮らしをしている人は沢山いると思っている。 だから、この妻のように悩む人は恵まれた人であると思うし、同時に、自己省察が不足しているのではないかと思ったりもする。自分の結婚を決めたとき、それは、100%ロマンチシズムによるものだったのかと問うてみたい。また、あなたは、夫に対してだけ100%のロマンチシズムを求めてはいないかとも聞いてみたい。前者に対してイエスと答えられ、同時に、後者に対してノーと言い切れる人は羨ましい。男女の違いはありながらも、私も出来たらそういう人間として生まれ人生を送れたら良かったと思う。 たぶん、この映画の妻はそういう人間だと答えるだろう。実際にそうであるか否かはともかく、少なくとも自分ではそのように思っている。この上なく幸せな人だ。羨ましい。 なお、原題は「Hope Springs」。『希望の泉』でしょうか。素晴らしい。
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by haru_ogawa2
| 2018-05-24 00:39
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2018年 05月 21日
「白い帽子の女」 幸せな結婚生活のつまずき、人生の渋さを丹念に深く描く。 ![]() 楽しくない。そもそも楽しませるつもりが無く作っている。 主演はブラッド・ピットとその妻アンジェリナ・ジョリー・ピット。そして、監督はアンジェリナ・ジョリー・ピット。 フランスの静かな入り江にあるリゾート地に、二人がオープンカーに乗ってやってくる。二人ともフランス人のようにフランス語がペラペラだが、実はニューヨークからやってきた。男は作家で女はその妻。しかし、この二人、明らかにうまく行っていない。夫は朝からカフェに出かけ酒浸り。ノートは持っていくが執筆は中々はかどらない。妻は一日中ホテルにこもっている。夜になり夫は帰ってくるが、会話がまともに成立しない。大きなダブルベッドに二人で寝ているが、手に触れることも無い。こうしたギクシャクした状態は夫にも精神的苦痛を与えている。夫はカフェの主人に、妻は「意地が悪くなり手に負えなくなることがある」と語る。シャワーを浴びている妻に夫が迫ることもあるが、妻はかたくなに拒否する。どうして、こうも上手くいかないのだろう。二人は結婚して14年目。いやーー・・・・、こういう夫婦関係、身につまされる人がたくさんいるでしょう。私もその一人であることを否定しません。 そのホテルに新婚カップルがやってきて、隣の部屋に入る。そして、気が付いてみると、隣の部屋との間に穴が開いている。かつての配管のあとが埋められず残っていたのだ。壁材で埋める代わりに丸めた紙が突っ込んであるだけ。一人でいるとき、妻がその紙を取ってみると、隣の部屋のカップルのベッドシーンが見える。そのうち、夫も気が付く。こうして、二人はその穴の前で酒を飲みながら、隣の部屋のカップルの行為を覗くことを習慣とするようになる。それが刺激となったのか、二人には互いを求める気持ちが少し戻って来る。一度はバスの湯舟の中で行為に及び、その後の会話もスムーズになる。 しかし、ある日、暗くなる前に夫がホテルに帰ってみると、妻がいない。隣の部屋との間の穴から覗いてみると、新婚カップルの男が作家の妻のブラウスを脱がそうとしている。妻は全く抵抗の素振りを見せない。慌てて、隣の部屋に乗り込み、夫は新婚カップルの男を叩きのめし、妻を自室に連れ戻す。どうしてあんなことをするんだ!と問うと、妻は、あの男と寝たいのよ!と答える。夫は、そうじゃない、新婚カップルに嫉妬しているんだ! 幸せなのが悔しくて二人の間を壊してやろうとしているんだ! 自分が子供を産めなかったから悔しいんだ!と指摘する。違う、そうじゃない、と否定していた妻も、最後は泣き崩れ、態度で肯定する。 翌日、ベランダで安楽椅子に寝ている妻が「私、良い子よね」と聞くと、夫は「時々、悪い子になる」と言い、横から抱きしめる。実は、二人は3年前子供を作ろうとして流産した。そのあと更にもう一度流産。子供はそれっきりとなった。これが、二人の関係を大きく変えることになっていた。 急いで帰ることになった新婚カップルを追いかけ、その妻に作家が事情を説明すると、壊れかけた二人は関係を再構築することで合意する。実は二人の狙い通り、女性は妊娠していたのだ。 自分の妻を描く作品を書くことにした作家の新作の執筆は、その後すらすらと進み、タイプライターでの清書も完成する。二人は、またオープンカーに乗って引き上げるが、ハンドルを握る作家の手に妻の手が重ねられる。 なんだか、日本人監督が作りたがりそうな筋書きですね。これをハリウッドの大スターが作ったということが驚き。なお、作家の新作の題名は「By the Sea」。この映画の原題と同じである。日本題は、少し雰囲気のある題にしようとして頑張ったのだろうが、ちょっと無理がある。だって、妻がかぶっている帽子は白よりも黒の時の方が多いのだから。 初めと最後に流れるショパンのPrelude in E-Minor (op.28 no. 4)が印象的。 なお、主演を演じたこの二人は、この映画の製作の翌年2016年に離婚を申請した。協議は長く続き、正式に成立したか否かはわからない。 ▲
by haru_ogawa2
| 2018-05-21 01:26
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2018年 05月 18日
「L.A. ジョーンズ」
テーマ無く、上手い具合に90分間飽きさせない。その点ではうまい。プロの仕事。 ![]() ある意味見事な映画。 テーマは何もない。ただ単に、ハリウッドの高級娼婦が理由は分からないが近いうちにすごく金が要り、そのためにたくさん稼がなくちゃということで、次から次に客を取っていく。 ただ、高級娼婦なので、客は金持ちばかり。そして、主人公は客のファンタジーを満足させるようにいろいろなキャラクターを演じ分ける。中には、本気でウブな子だと思い惚れる客もいる。こんな仕事をしていてはいけない、いくら金がかかっても自分が助け出してあげるという客もいる。でも、断る。縛られるのは嫌なのだという。そして、どうやら本気でこの仕事に罪悪感を感じていない。 そして、本気で惚れていた客は探偵にシッボをつかまれ妻から離婚裁判を起こされることになる。 ただ、不思議なことに、非常に強引な男子学生のアタックに応えて、自宅の電話番号を教えてデートした挙句一夜を共にする。どうも本人も惚れてしまったらしい。非現実的な展開だがそういうことにしている。 まあ、こんな話が90分続いて飽きさせない。よく出来た娯楽小説の類ですね。本気で、何を表現しているのかなんて考えたら馬鹿にされる。こういうのも良いでしょう。 でも本当は、もっと深いものがあったら良かったな。どうせ、同じ時間を使うならね。 なお、原題は「L.A. JOHNS」。「JOHNS」というのはローマ教皇ヨハネスのことを言うが、「JOHN」の複数だと一応考えるべきだろう。それが「男」を意味するということは、ある程度英語を勉強した人なら誰でも知っている。でも、同時に、この言葉は、「(売春婦の)客」という意味も持っている。だから、題名だけで、どういう話なのか、分かる人には分かるわけである。ただ、にもかかわらず、この映画にはエロチックなシーンはほとんど無い。それでいて90分もたせているのだから、やはり、これはプロの仕事ですね。傑作かな?
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by haru_ogawa2
| 2018-05-18 00:14
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2018年 05月 15日
「手紙は憶えている」
ヨボヨボで認知症にかかった老人の人生をかけた復讐劇。目的達成と思われた瞬間に起こるとんでもないドンデン返し。 ![]() ビックリするくらいドラマチック!!!意外性の塊。 主人公はヨボヨボの老人である。何をするにも手が震え、立っていることもおぼつかない。認知症にもかかっていて、何でもすぐに忘れる。齢90歳。この人が人を殺すために旅をする話である。 目が覚めてみると自分はどこかの施設にいるようだ。一緒にいるはずの妻の名を呼ぶ。返事がなく、裸足のまま部屋の外に出てみると、なんと妻は1週間前に死んだと告げられる。完全に忘れている。 そして、家族も皆施設にやって来てユダヤ教に則った死後7日目の儀式を行っている最中、同じ入所者のマックスに呼ばれ手紙を渡される。それを部屋に持って帰って一人で読むんだと告げられる。君の奥さんが君にために書いておいてくれたものだからと言われて。以後、主人公ゼブはその手紙に沿って行動する。そっと施設を抜け出し、鉄道とバスに乗り、途中で銃を買い、アメリカからカナダをめぐり人を探す。対象者を見つけて銃を突きつけるが、一人目、二人目はともに見当違い。 実は、主人公はアウシュビッツに捕らわれていたユダヤ人で自分の家族の多くをそこで殺されていた。ところが殺害に関わったドイツ人の中には被害者の身分を騙ってアメリカに逃げたやつがいる。しかし、もう年老いていて、ドイツに送還して裁くことが出来ない。だから、我々が代わって銃による裁きを与えるんだと、マックスと誓い合っていた。マックスは酸素ボンベを引きずらないと生活できなくなってしまっているので、その役割はゼブが一人で引き受けることになった。でも、そのことを認知症のゼブは忘れている。だから、何をするべきかの順番をマックスが事細かに一々手紙に書いて伝えていた。セブはすぐに忘れるが、手紙を見て一つ一つ手順を追っていく。 3人目の対象者を訪ねたら留守。一日待っていると、警察官をやっている息子が帰ってきた。そして、対象者は数カ月前に死んだと告げられる。しかし、父の友人としてもてなしを受け、対象者の遺品を見て話を聞いているうちに人違いであることに気が付く。でも、たまたま腕に彫られた囚人番号の刺青を息子に見られてしまいユダヤ人であることを悟られる。ユダヤ人が何をしに来たんだ、この薄汚いユダヤ人めと罵りを受け、犬をけしかけられる。身を守るため、ゼブは犬を射殺し、次いで銃を抜こうとした息子も射殺する。何ということだ! でも、認知症の主人公は、そこでシャワーを浴び体を洗いベッドで横になってしまう。目覚めて、妻の名を呼んで返事がないことをいぶかしんでいるうちに、たまたま手紙を見る。ゼブはマックスに電話をかけ誤って人を殺してしまったことを報告する。マックスは、どうする、もうやめるかと聞くが、ゼブは答える。最後の対象者オットーは自分の家族を殺したんだ。こいつだけは許せない、と。 探し当てた相手は、3世代同居でゆったりと過ごしていた。家族には、アウシュビッツに収容されていたことをほのめかす態度を取っていた。そして、その相手は、ゼブに、いつか君が現れると思っていたと言う。しかし、ゼブは銃を突きつけ、家族の前で、対象者は収容されていたのではなく、逆にユダヤ人を組織的に殺すブロックの責任者であったことを白状させる。そして、お前はオットーだ、自分の一家を殺したオットーに恨みを晴らさせてもらうと言うと、相手は驚きべきことを言う。違う、そうじゃない、自分はオットーじゃない、クロップだ。オットーは君だ。君も自分も別のブロックの責任者であったのだ、と。逃げるときに、偽装のために、一緒に腕に偽の入れ墨を入れたんだ、自分の番号は何某だ、君の番号は何々だと、対象者は体を寄せて、ゼブを説得する。ゼブは体を振り払いながら、そんなことがあるか!!と思わず銃を発射してしまう。しかし、愕然とする。その通りの番号が腕に入っている。そして、相手の言っていることが本当であることを思い出す。自分の家族を殺したと思いこみ怨みを晴らそうと探し続けていたドイツ軍将校は、実は自分自身であったのだ。直後、ゼブは自分の頭を撃ち抜く。 この事件のニュースがマックスの入所している施設で流れる。入所者の多くは、ゼブは自分が何をしているか分からずやってしまったのだろうと同情するが、マックスはしてやったりの表情を浮かべる。実は、手紙を書いたマックスは、初めから、ゼブが本当はオットーであることに気がついていた。彼の狙った筋書き通りにゼブは行動し、彼の怨みを晴らしてくれたのだ。 そんな気もなく、あらすじをほとんど書いてしまった。しかし、この意外性はすごい。主人公が認知症を患っているということがキーポイントですね。随分うまいこと考えたものです。ゼブは、自分の身の安全を図るために、本気で自分はアウシュビッツに収容されていたユダヤ人であると信じ込み、真実を意識下に抑圧する努力をしていたのでしょう。でも、かすかに引っかかるトゲが心にあったはず。ところが、認知症にかかったことから、そのトゲを忘れてしまっていた。いやぁ、お見事です。素晴らしい。 それにしても、ドイツ軍によるユダヤ人虐殺のモチーフは強いですね。戦後73年目になって、日本では、かつての日本の蛮行についてどうこう言うのはエエ加減にしてくれないかなという気分が濃厚だと思います。日本の国際的地位の低下や経済の閉そく感等と絡んで、それがネトウヨを生む要因になっているのだろうなと思うのですが、欧米では第二次大戦中にドイツ軍が行った蛮行は永遠のモチーフであるかのようですね。忘れてしまいたいことと忘れてはならないことがある、忘れたい人がいても忘れられない人・忘れたくない人もいるということでしょうか。 主演の役者さんのヨボヨボぶりは本当に見事でした。こんな人が人殺しをしようなんて・・・という、意外性満点ですね。 なお、原題は「REMEMBER」。99%の時間は日本題がピタリとした説明になっていますが、最後のどんでん返しを考えると原題でないとだめですね。 ▲
by haru_ogawa2
| 2018-05-15 01:25
| その他
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2018年 05月 13日
「潜水服は蝶の夢を見る」
瞬きだけで本を書いた男。体の動かなくなった男に去来する人生。楽と苦。 ![]() 楽しい映画ではない。 映画の始まりがぼけた映像の連続から始まる。マシントラブルかと思わせるがそうではない。これは主人公の目に見える世界の姿なのだ。主人公の目が見えていることに気が付いた他の者がやってきて言う。あなたは3週間の昏睡から目覚めたところだと。非常に珍しいケースだ。重い脳卒中で脳幹の一部が壊れ脳と脊髄の連絡が切れてしまった。だから体は動かない。ロックドイン・シンドローム(閉じ込め症候群)に陥っていると。 しかし、主人公の意識はあり、想像力と記憶は失われていない。そして、まぶたを開け閉めすることだけはできる。そこで、病院は本人に意思表示をさせ言語機能の回復を図るために言語療法士を付ける。彼女は、oui(ウイ、〇)なら瞬き一度、non(ノン、×)なら瞬き2度をするように言う。そして、言葉を発することが出来るようにアルファベットをずらっと発音していき、言いたい言葉のつづりの文字が来たら瞬きを一度するように言う。こうして、何もしゃべれない男が他者と意思疎通ができるようになる。 彼はもともと雑誌「ELLE」の編集長であったが、ある出版社と本を出す契約を交わしていた。主人公が言葉を伝えることが出来るという連絡を受けた編集担当者は、主人公の言葉を上記の方法で聞きだし原稿にまとめる担当者を病院に派遣する。こうして、一冊の本をまとめるために根気のいる長い作業が始まった。 本が完成するまでには、いろいろ人がやってくる。またいろいろな電話も入る。最初にやってきたのは、子供たちの母親。どうやら離婚したらしい。そして、愛人がいるが、愛人はやってこない。年老いて、自分の部屋から出られない年老いた父親からも電話がある。かつて自分が乗ろうとした飛行機の席を譲ってあげた友人も来た。彼は、主人公の代わりに経由地のベイルートで拉致され4年以上も監禁されたのだった。主人公はそのことで友人に負い目を持ち、釈放された報を聞いても連絡をとることはなかった。 また、日曜日に、子供の母親=かつての妻が来ているときに、愛人から電話がかかってくる。かつての妻を外して意思疎通を図りたいが、それができない。結局、主人公は、愛人を「愛している」という気持ちや「来てくれるのを毎日待っている」という言葉を、彼女に媒介してもらうしかなかった。その時、かつての妻にも主人公の目にも涙があふれる。 こうした人たちの訪問や電話があるたびに、主人公は自分の人生を反芻することになる。また、自由に動き回れることを夢想したりする。 離婚後訪問していた子供たちと会ったときの喜びともう抱きしめられなくなってしまった現在の苦しみ、自分と同様相当なプレイボーイだった父親とのかつての慈しみと現在の自分に対する父親の悲しみ、女性と深い関係を持つことの喜びと喪失感。結局、人生は何だろうか。 脳卒中を起こしたのは、買ったばかりの新車のオープンカーで離婚した妻と子供たちが住んでいる家を訪ね、長男を連れて妹の家に向かっているときだった。思春期にさしかかった長男に自分の同時代のことを語っていた時、主人公は突然気分が悪くなる。やっとのことで車を止めるが、そこで意識を失う。ここで映画のはじめのシーンにつながるという設定である。 主人公の気分が悪くなってから、バックでシャンソンの「La Mer(ラ・メール)」(Charles Trenet歌唱)が大きく流れ始める。この演出、上手いですねー。この曲は決して悲しい曲ではなく、ほんわかとした気持ちの良い曲。それをあえて使うことで、混乱した状況が一層強調されている。 本は完成し出版されるが、その数日後、主人公は命を閉じた。そして、これは、なんと、実話に基づいた話なのであるという。 重い映画でした。 しかし、なぜこの楽しいとは言えない映画を最後まで見続けたのだろうかと考えてみると、様々な工夫が凝らされているからなのでしょうね。 その病棟は随分古い歴史のある建物で、フランス革命以前のような服装をした人たちが動き回る映像が妄想として登場する。映像の数十%が主人公の目という設定になっていて、ピントがどこにあっているのか分かりにくいシーンやゆっくりとピントが移動するシーンがたくさんある。カメラを揺らして撮っているシーンもある。寝ている主人公の上で人物の顔がほとんど恋人の距離で豊かな表情を見せてくれる。体が動かないのに美しい療法士やかつての妻を軽いエロチシズムの視線で見ているシーンもある。主人公が子供たちと海辺に連れて行ってもらう美しいシーンがある等々。 楽しくもワクワクも胸をわしづかみにされるわけでもないのに、深い味わいを以て見させられてしまいました。やはり傑作ですね。 なお、原題は「Le Scaphandre et le Papillon」。「潜水服と蝶」ですね。潜水服は体の動かなくなってしまった状態を象徴している。蝶はその反対。自由にどこでも飛び回れる。日本題の方が映画の意図をストレートに表しているとも言えそうですが、意味を限定してしまっているとも言えそうですね。
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by haru_ogawa2
| 2018-05-13 21:11
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2018年 05月 11日
「アバウト・タイム」
タイムトラベルの能力を自分の恋愛と家族への愛情に使い、今この時のかけがえの無さを感得する。人間の身勝手さ、弱さを前提とした愛情の尊さを表現している。 ![]() 素晴らしい。とても素晴らしい。 人生を何回もやり直しても変えられないこともあるし、変えられることもある。この一日、この一瞬が取り返しのつかない素晴らしい時であることに思いを致して生きていこうね、というメッセージを伝えている。 それにしても、上手いですねー。 このメッセージ自体は、ごく普通に語られる考え方で陳腐だとさえ言える。でも、この映像・ストリーを通して見ると、本当にそうだよなと思わされる。それは、この父と息子の関係がこれ以上ないほどの信頼関係で結ばれていて、そのいとおしさが実感できること。それも堅苦しい倫理道徳ではなく、誰でもが持っている欲望・自分勝手さ・弱さを容認したうえでの情愛であることが大きい。押しつけがましさがないのだ。 それは、主人公がわが子に向かう気持ちでもある。幼いわが子と過ごす生活をこの上なく幸せだと主人公も感じているが、それは私自身の気持ちとも通じる。あれこそが人生の幸せだと思う。子供にとっても、大好きな親と一緒に過ごす時間はこれ以上ない幸せな時間であるはずだ。まあ、大人になると子供の時の気持ちを忘れてしまうので、大人は、その点はあまり意識はしなくなっているけどね。 それにしても、この女優レイチェル・マクアダムスの笑顔は素敵だ。こんな笑顔を向けられたらもう何もできない。主人公がこの子をゲットするために、過去に戻ってやり直すというズルを何回もやるのは当然だ。そう思わされる。自らを「落ちこぼれ」と呼ぶ妹の運命を変えてあげようと、主人公は、やはり何度もズルをする。父親が元大学教授で息子が弁護士という強い理性を持つ家族でも、そのようなズルをしてしまう弱さを持っている。それは愛情とも言うが人を惑わす煩悩でもある。その弱さを肯定しストーリーをくみ上げていくところに、この映画の魅力があり、人の気持ちを引き付ける強さがあると感じる。 結婚式のパーティーが突然の嵐に襲われシッチャカメッチャカの大混乱になるなんて演出も上手いですね~。こういう力の抜け方、柔らかさを持ってくるところが本当に良いなあと感心しました。 ▲
by haru_ogawa2
| 2018-05-11 01:00
| その他
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